私に恋を教えてください
その部屋の鍵ください
6月の決算を終え7月に入った頃、社内で大規模な打ち上げパーティが行われるとのことだった。

決算後に毎年行われているというそれは、近くのホテルの宴会場で行われている。
毎年、数人が呑み潰れるため、内緒で宿泊フロアも1階分貸切にされているのだという。

宿泊フロアについては、それをオープンにしてしまうと問題があるため、マネジメント事業部の方で密かに抑えていたりするのだ。

「羽目を外すやつが毎回でるから、どうかとも思うんだけど、部課間の親睦も深まったりするし楽しみにしてるやつもいるしこれでくっついたりするやつらもいるから、一概に止めるとも言えないんだなー」

ホテルへの移動中、みんな出会いがないんだと含み笑いしながら侑也はそんなことを言った。

「社内恋愛とか禁止じゃないんですね」
「社長も副社長も、人に迷惑をかけなければ推進する派。結婚しても奥さんが会社の内部を分かっていたら、喧嘩になりにくいんじゃないかって話。まあ、人を雇うってことは大変なんだな」

侑也はチャラっとして見えるけれど、意外と真面目だなとは柚葉はこういう時に思う。

「あと、須藤もすごく面白い」
「課長ですか?」
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