【完結】打算まみれの恋


 趣ある感性のふりをして、実際に自然や景色、四季には微塵も興味なく「春画には興味あるよ!」と笑顔で言ってきたときは、もう二度と家に入れないと思った。

「嫌なことばかり思い浮かんで、好きな理由には口ごもる。だけど一緒にいることは嫌じゃない……私にとって、これが好きということ、なのかなと思います」

 はじめは嘘を吐かれた。許せるか許せないかは曖昧だけど、許したいとは思っている。以降、真っ直ぐとは絶対言えないけど、いつも全力な姿に自分の存在を認められている気もしていた。

「緋奈さんそれお別れするときに言う言葉じゃない……? 俺死んじゃう? 切られた挙げ句死ぬのやだ……緋奈さんとずっと一緒にいたい。結婚するの……!」

 ずる、ずると這いずって滝永さんが寝返りをうつ。私は震えるその手を握った。

「そこ、取れずに済んだらお泊り会をしましょう」
「絶対取れるやつじゃん……! っていうか、本当に? それってもしかして……」
「……はい」

 泣きじゃくりながら、ぶるぶる震える彼と一線を超えてみようと思う。
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