【完結】打算まみれの恋
病院でお医者さんに診てもらった滝永さんは、食中毒と診断された。いかがわしい場所に記名したことではなく、前日眠れなくなったから食べたものが良くなかったらしい。結局日帰りで帰ってきたし、通院することもなかった。
「おっとまり、おっとまり!」
それから一週間後の今日。滝永さんは私の部屋のベッドの前で小躍りしている。先週、彼は処置室の前で「いやだ、絶対切るだろ!」「緋奈さんに好きになってもらえなくなっちゃう!」「緋奈さあああああああん助けて緋奈さんああああああ」と、病院に多大なる迷惑をかけていたことなど、まるで忘れているように大きな声で浮かれている。
「ていうかさぁ、今日緋奈さんのパパママ明日になんないと帰ってこないんでしょ? 姉も海外に撮影って運命じゃん」
今月の予定を書き込むカレンダーには、みんな昨日一昨日から今日までにラインが引かれ、出張、海外撮影、同窓会旅行と書かれている。みんな私の誕生日を祝うため予定をやりくりしてくれていて、そのしわ寄せが来てしまっているようだった。
だからこそ、家族のいない間に……という感じに複雑な気持ちもある。性的なことを言われても大丈夫と我が家に招いたけど、こんなことになるとは思っていなかった。完全に今日する空気になってしまっているし。