【完結】打算まみれの恋


 小さい頃から私と姉の間には絶対超えられない壁があって、どんなときでも私はおまけだった。お父さんとお母さんが私をちゃんと見てくれたことは、奇跡だったんだと思う。

 祖父母ですらお年玉もプレゼントもお祝いの言葉も、私にそれらを贈るのは姉を盛大に祝う手前、えこひいきを露骨にしたら外聞が悪いという理由で、私を祝うことが目的とされることは一度もなかった。

 周りからも、私がどんなに頑張っても、「姉みたいにはなれないよ」「必死だね」「松戸円の妹なんだからもっと頑張ったらどう?」以外の言葉をかけられることはなかった。

 女の子の友達が出来ても、その子の彼氏が姉を好きになり、泥棒の妹と私はいじめられた。ときに私と仲良くなれば繋がれると近づいてきて、見え透いた下心に拒否をすれば暴力を振るわれることもままああった。

 だからどうせ、滝永さんもそっち側の人間だと思ったのに。

「私は、あなたと過ごすなんでも無い時間が、好きです」
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