【完結】打算まみれの恋


「いらっしゃいましー」
「せー」

 深夜、関西弁訛りと投げやりな店員さんの声を聞きながら、店内へと入っていく。あれからしばらく眠った私は台所で水を飲んでいるときに、塩を切らしていることに気付いた。ずっとベッドにいない方がいい気もしてコンビニに来た。

 正直滝永さんを一人家に置いておくことには不安がある。想像すらできない「何か」をされそうで怖い。でも塩の無い朝食もきつい。

 私は棚から塩を手に取りカゴに入れた。飲み物はあるけど追加で買っておこうか。漠然と悩んでいると、軽快な入店音とともに「いたああああ!」と絶叫が響いた。

「ヤリ捨てかよおおおおおお!!!!!!!!! ひどい!!!!!!!!! 付き合ってくれるって言ってたのに!!!!! お気軽ポイするなんてひどいよ!!!!!!!!!」

 何百デシベルともわからぬ声がさらに追加で木霊する。振り返ると上裸の滝永さんがぜぇぜぇ言いながら店の入口に立っていた。彼は目を見開きながら、こちらへと早足でやってくる。
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