【完結】打算まみれの恋


「あの滝永さんお店の中ではお静かに……」
「お静かに出来ないよ!! っていうか話逸らさないで!! さんざんヤらねえって焦らしておいて一回寝たら捨てる気ってなに?? いつからそんなゴミクズになっちゃったの緋奈さんは!!」

 幸い店内にお客さんはいないし、店員さんも迷惑がる顔ではなく「面白いもん始まりましたなぁ」と笑っている。でも、普通に迷惑行為をしていることに他ならない。私は塩を一旦棚に置き、店員さんに頭を下げて店を後にする。しかし滝永さんはどんどんヒートアップしてきた。

「ねぇ、俺の話聞いてる? 俺起きた時どんな気持ちだったか分かってる? すっげぇ悲しかったの。一人でさぁ、裸でベッドに置いてかれたんだよ? 緋奈さんぎゅーってしようとしたらすげぇ冷てえし空気? みたいな。完全にヤり捨ての手口じゃん! 俺緋奈さんと会う前六百回くらいやったわその手口!!! どういうつもり? ヤッたくらいで彼氏面すんなとか言わないよね? 味見終わったから興味ないとか言われたら俺緋奈さんの目の前で超グロく死んでやるからね!!!」

 滝永さんは過去の悪行について暴露していることに自覚はあるのだろうか。なるべく車が通り、騒音でかき消される道を選んで歩き、私は彼に顔を向ける。
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