【完結】打算まみれの恋
夜を一緒に過ごして、私がいつも通りでいれば、滝永さんは性的アピールをやめるかもしれない。
そう思っていたけれど、彼が変わることはなかった。むしろ悪化した。一度寝たくらいで彼氏面がどうだとか、結構彼はひどいことを言っていた。しかし彼は一緒に過ごしてから夫面をするようになった。
大学で使う私のノートの松戸部分をわざわざ消し、滝永と書き直すのはまだいい方で「これ日付変えればいいだけじゃんね」と結婚式の招待状を作ってみたり、寸胴鍋どころか凄まじい量の作り置きおかずを差し入れてくる。
私の通帳の名義を執拗に変えようとしていたし、自分を松戸に変えようとしていた。とにかく全力を出す方向性を全て間違えていた。
そしてあの夜から約ひと月。今日はホワイトデーだ。滝永さんが異常行動を起こしても大丈夫なよう、集まる場所は滝永さんの部屋にした。油性ペンの類は事前に回収もしてある。