【完結】打算まみれの恋

 駄目だ、滝永さんの行動を予想して防ごうとしたら。そのせいで、この人はさらにどんどん変な行動を起こしてしまう。というか、この人は、「やっちゃいけない」とかじゃなくて、「書いてもらいたいから」婚姻届勝手に出さなかっただけ……?

 常識が、法律の概念が、存在していない……?

「もうさ、付き合ってヤッたわけじゃん。あとすること結婚じゃん? 俺最初から結婚してって言ってたし。入籍だけならしててもいいでしょ? きちんとヤッた責任は取ろう? あれから平安時代の結婚調べたんだけど、あれ一夫多妻制なんだね。でも安心して俺ガッチガチの一夫一妻制だから。俺緋奈さんにしかどきどきしないから。心も身体も緋奈さんのものだし、緋奈さんが他に好きな男出来ても殺すから最終的にちゃんと一夫にしてあげるから。ねっねっ! ここ一ヶ月ずっと物件も探してて、やっと候補まとまってきたから選んでよ。ほら家入って、家、ほら俺んち入って、立ち話もあれだから」

 恐る恐る、左手に目を向ける。そこにはどう見ても、きらきらと輝くリングが薬指に光っていた。
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