【完結】打算まみれの恋


「俺のこと一生許さなくてもいいから結婚してほしい……今好きな人いないなら結婚してほしい。付き合ってほしい……嫌わないでほしい、ちょっとだけ、ほんのちょっとだけ入籍しよ」
「いや……」

 ずるずると、鼻水をすすりながら、滝永さんは私の足に縋りついて頬ずりをする。物腰のわりに腕はしっかりと足に絡みついていて、離れそうもない。

「と、とりあえず、お友達からで……」
「それはセフレ……? 心の友……?」

 何だろうこの人、根本から常識が違うのだろうか。そういえばこの人は、かなり女の人と遊んでいたような話をしていた。そこから常識のズレが来ている……とか?

「心だけので……」
「その友達って、将来的に結婚できる……恋人にしてもらえる友達……? うっかりセフレになって疎遠になったりしない……?」
「はい。あの、電話したり、予定が合えばご飯を食べる、みたいな、健全な方で……」
「それって、プラトニックな恋人同士と、違わないんじゃないかな……ねえお付き合いは駄目……? 俺緋奈さんが誰かとお付き合いする可能性残ってるのやだ……やだよ……ねえお願い……お願い付き合って……付き合ってってば……俺の事緋奈さんの彼氏にしてよお…… お願い……」

 どうしよう。話が通じる気がしない。この人は女遊びのし過ぎで狂っているのか、元からなのか判断できない。姉は周囲の目が自分に集中した結果、暴力に狂ったけど、もしかしたらアクション映画が姉に無かったら、姉はこういう風になっていた……?
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