【完結】打算まみれの恋
「あの、知り合ったばっかりですし、お付き合いはちょっと……」
「知り合ったばっかじゃない……手紙何回も交換したじゃん……平安時代ならもう結婚じゃん……どうすれば知り合いになれる……? 俺分かんない……付き合ってもいい知り合いっていつになったらなれるの……分かんないぃ……なんでぇ?」
哲学を、問われている気さえしてくる。確かに付き合う知り合いって何だろう。自分でもどうしていいか分からなくなってきた。でもとりあえず今日ではない。うん。今日ではない。
「何で今日じゃ駄目? 俺何かすると思われてる? 緋奈さんが嫌なら触らないしなんなら俺の自慢のちんこ切り落とすから!」
そう言って、滝永さんは自分の下半身を指し示す。本当に、いま周りの人間がいなくてよかった。とにかく説得しなければと考えていると、私が沈黙しているのを滝永さんは了承と捉えたらしい。「はさみ……」とぶつぶつ言いながら鋏を鞄から取り出す。
「あの滝永さ……」
「俺の誠意を担保に俺を信じてほしい」
発想が新人類すぎてついていけない。姉が暴力への衝動に感情を全振りしているだけで、顔のいい人間はこんな感じなのか……?