【完結】打算まみれの恋
「それは……ちょっと……違くないですか」
「違くない、違くない! 違くないって! 嬉しい! 夢みたい! 俺緋奈さんの彼氏だ!」
「いや……」
「彼氏だって! だって緋奈さんがしばらく待ってって言ったんだから俺は緋奈さんの彼氏になれるんだ! 嬉しい! すごく嬉しい。これからずっと一緒だね。大学も迎えに行く! 朝も大学まで送っていく! あっ両親にご挨拶させて! 嬉しいなあ。俺の部屋緋奈さんスペース作るからいつでも泊りに来てね! 俺緋奈さんに何されてもいいから、何頼まれても嬉しいから何でも頼んで! でもほかの男との仲を取り持つのは無理……だって俺が緋奈さんの彼氏だし……ねえ、俺緋奈さんの彼氏になれたってことは、いずれ結婚もしてくれるってことでしょ? 俺のこと緋奈さんのお婿さんにしてくれるんでしょ? そうだよね? そうに違いないよね? 嬉しいなあ。仕事休みの日は一日中くっついていてもいい? 朝は緋奈さんの声を聴いて、一日ずーっと一緒に居られるなんて、ああはやく結婚したいなあ! ねえ、ねえ! ねえっ! お墓もだ! 死んだらお墓の中でも一緒だ! すごい! お墓も一緒だ! そうだ今度デート行こうよ! 墓地の散策しよ! 緋奈さん希望ある? やっぱり景色がいいところがいい? それとも落ち着いたところがいいのかなあ? 海が見えるところとかもいいよね? なんなら海外でもいいよね? 緋奈さんの好きな場所決めていいよ! 緋奈さんの終わる場所が俺の終わる場所だから! 嬉しいなあ嬉しいなあ! 俺今日から緋奈さんの未来の旦那さんだ!」
そう言って、滝永さんは目を爛々と輝かせる。しかしその目の奥はびっくりするくらいに深い沼のように見えた。