【完結】打算まみれの恋
「えー、滝永さん、彼女いないのー?」
「いないいない、生まれてから一度もいないよ」
アップテンポの曲が流れる中で照明が落とされたフロア内、皆躍ったり良さそうな奴を口説いてみては、好き勝手に騒いでいる。
それらを横目に今日の女の子と適当に会話を交わしていれば、今日の主催が俺と肩を組んできた。
「駄目だよタキの言う彼女いないって、本命がいないってことだから! そーいうお友達なら途切れてないっしょ」
「あっ、ちょっと今本気になりそうな子とお話してるんだからやめてくださいよー!」
げらげらと大げさな身振りで笑う。遊ぶのは好きだ。金も巡るし女も巡る。遊んでまた取り替えてと飽きることがない。俺の性に合ってるんだと思う。
世間では恋だの愛だのが美化されてるけど、結局自分の欲求を綺麗に言いやすくしているだけだ。彼女とか結婚とか怠いだけ。ハッピーエンドのその先なんていらない。
相手を決めずともこんなに自由に生きていけるのに、自分から縛られに行くなんて狂ってると思う。
「ねーあっちのほうで飲もうよ。もっとちゃんとした話したい」
囁けば女は「……うん」と俺の服の裾を掴んだ。本当にちょろい。