【完結】打算まみれの恋

 俺の言葉に、和泉は胡散臭いものを見る目をこちらに向ける。もういい。手段なんて選んでられるか。脅迫だ。脅迫するしかない。

「……晴ちゃんって子に和泉が遊んでた頃の話バラしちゃおうかな?」
「その前にお前をバラすよ!」
「頼むってマジで! 俺の運命だから俺が幸せにしなきゃなんだって」
「お前の幸せは、晴ちゃんに関係ない」
「じゃあ俺がその晴ちゃんに頼みに行こうかな」
「その前にお前を晴ちゃんに会いに行けなくさせるから」

 和泉は肉叩きを握りしめ、静かにこちらを見据える。しかし俺も自分の運命がかかっている。黙って見返すと奴はしばらくしてため息を吐いた。

「晴ちゃんに友達連れて店に来てもらうから、うっかりそこで二人にさせるとかでいいか」
「いやそれは困る」
「は? 死ね」
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