【完結】打算まみれの恋

クリスマスデート






「緋奈さんでしたよノート? なんですかこれは」

 人が賑わうイルミネーションツリーのそば、周りはプロポーズや告白をする中で滝永さんが一冊のキャンパスノートを取り出してくる。

 結局私は色々悩んだ末にクリスマスに滝永さんと会うことにして、彼と期間限定の美術館の展示を見たり、食事をして過ごした。

 そして想像よりずっと楽しい時間を過ごし、最後にイルミネーションを見ようと駅前の広場へ彼とやってきたのだ。

「ずーっと書いてたの。緋奈さんと会った時から、信用してもらいたいなーって思って」

 渡されたノートには、「緋奈さんでしたよ!」と私の名前を強調する文字列が並び、より一層不可解さを醸し出している。

 今日、私は一応滝永さんにプレゼントを用意してきた。顔合わせの時の洋服のこともあるからだ。文通の時お香が好きと言っていたから、お香を自作するセットだ。でも手紙は書いていない。

 メッセージカードの一つくらい用意しておけばよかった。私は反省しながらページをめくる。
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