【完結】打算まみれの恋


 滝永さんはまた伸びをしてそのまま床に転がった。彼は相当な遊び人だったと聞くし、実際街中で歩いているとき「タキ〜」とか「セイジー!」なんて女の人たちが嬉しそうに寄っていくこともしばしばある。

 でも。私を好きになって変わったらしい彼は「うるせーな死ねよ」などと元彼女に対して最低な振る舞いをする。端的に言ってクズだと思う。

 そして貞操観念はしっかり獲得したらしく、「恋愛は遊びじゃない」という認識のようで、結果的に今この状態に落ち着いている……ようだ。

「ねぇ、万が一だけど、わざととかじゃなくだよ。ね? いろいろ失敗したとするじゃん。そしたら俺の子供産んでくれる?」
「滝永さんは……今までその……いろんな人としてきたんですよね」
「してきたけどなに……? だからやだとか言わないよね……? 俺でかいよ……? 病気もないし……」
「失敗したことはありますか?」
「一度もない!!」
「じゃあ私とするときも失敗しないようお互い頑張りましょう……」

 そう言うと、滝永さんは「また誤魔化すぅ〜」と唇を尖らせた。
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