【完結】打算まみれの恋
なんとなく胸騒ぎがして追うと、彼は簡単な手芸用品や文房具が置いてある棚に立ち、安全ピンをカゴに放り込む。私はそのまま彼のカゴの中身を見て絶句した。
滝永さんのカゴには、消毒液と安全ピン、さらには大量の避妊具と妊娠検査薬が入っていた。絶対に外れてほしかった予想の通りの光景に、顔が引きつる。
さりげなくこの場から立ち去ろうと後ずさると、ちょうど品出し中の店員さんとぶつかりそうになってしまい、滝永さんに気付かれまいと小声で謝罪し頭を下げると、後ろから「アァッ! 緋奈さんじゃん!」と声がかかった。
「……どうも」
気付かれてしまったら仕方がない。疚しくはないけど、目的のものをカゴに入れる前で良かった。
「えぇ、緋奈さんと会えるなんて超うれしい。何ほしい? 俺買ってあげる! もしかして怪我とか病気してるとかじゃない? 看病したげよっか?」
「いえ、普通に買い物で……」