【完結】打算まみれの恋
滝永さんは「えーじゃあこれからお昼食べようよー」なんて、にこにこしている。
「では、お言葉に甘えて……」
滝永さんは「すぐ金払ってくるから待ってて」なんてけらけらと笑ってレジに向かっていった。そして大きな袋を抱えて戻ってきて、荷物持ちを却下された私は彼と一緒に店を出る。
「何食べたい? 何でも作ってあげる」
私は今にも道路に飛び跳ねていきそうな程はしゃぐ滝永さんの腕を掴み慌てて押さえた。「うでー!」といいながら喜ぶ姿を見て逆効果だったかと思いながら彼の家まで歩く。
休日ということもあり歩道は賑わい、景色のどこを見ても人が……男が視界に入ってくる。
でも、以前とは違ってだいぶ心が穏やかだ。昔は町中の男を見るたび自分に害がなくても死んでほしいと思っていた。たぶんそれは今歩くこの人のおかげ。