【完結】打算まみれの恋
「それに和泉、母性こじらせて母乳の出し方調べてるもん。自分が彼女産み直すとかわけわかんないこと言って」
晴先輩の彼氏は、いかにも社長とか女医さんと付き合ってそうな雰囲気のあるオーナーシェフだ。営んでいるお店は雑誌やテレビで紹介され、芸能人の行きつけの店にも名前が上がったりする。
でも、決してそんなおかしなことをしているようには見えない。
「侮辱ですよ」
「嘘じゃないもん。っていうかさぁ、これで二月十日から十二日まで暇でしょ? 俺と遊ぼ! バレンタインの次の日緋奈さん誕生日でしょ! それまでどっかお泊りしよ」
「……泊まりはちょっと」
きらきら輝かせる目から視線をそらすと、滝永さんが一気に顔を歪めた。
「え……まさか本命がいてそいつと会う気じゃないよね……」
「いや、お泊りはハードルが高いだけです」
「ならいいけどさー、ねぇ緋奈さん俺にチョコあげる予定ある?」
私は「まぁ……」と言葉を濁すように返した。