【完結】打算まみれの恋
晴先輩の恋人は晴先輩が好きみたいだけど、いつか離れる心の準備をしていないと、私は誰かといっしょにいられない。だからこそ家族は何も考えられず一緒にいられる存在で、誕生日は家族と過ごしたい。
「えぇ〜」
「あの、えっと、バレンタインは、フォンデュパーティーとかどうですか」
「フォンデュっていちごとかバナナチョコにつけるやつ?」
「はい、うちにフォンデュ機あるので」
「まじ!? 本格派じゃん!!」
滝永さんは驚いた様子だ。関心がフォンデュへ移ったのかもしれない。安堵していると「フルーツ一緒に切ったりしたい」と私の腕に絡みついてくる。
「緋奈さんの切った果物なんかチョコつけて食うのもったいないな〜でもチョコも緋奈さん触るもんね」
「え……」
「触るもんね、フォンデュ機もね。触るもんね」
またジト……と見つめられる。私はどことなく嫌な予感がしながら、滝永さんに腕を掴まれていたのだった。