大人になってもまた君と
普段は素直になれなくて言葉に出来ないだけ。
本当はずっとずっと、かっこいいって思ってる。
好きって言葉もなかなか口には出せないけど……きっと彼が思っている以上に私は彼のことが大好きで、ベタ惚れで、重い。
「ねぇ、なんで顔、かくすの……?見せてよ。いつもみたいに目、合わせて?」
指が長い大きな手で顔の大半を隠してしまっている彼の顔を下から覗き込む。
もしかして、照れてしまったのだろうか。
だとしたら、すごく、可愛いと思う。
可愛いって言われるのは好みじゃないらしいから、ポロッとこぼれでないように両手の指先で唇を抑えておくことにする。
「お、まえ。ほんっとそういうところあるよな。すっげーずるい。その顔と仕草でやってくんの、ずるい」
「へ……?」
「普段の十割増しで可愛いって言ってんの。察しろ」
手を外した彼の顔は暗闇でもわかるほどに赤く染まっていて、語彙力を失った私は"可愛い"という言葉しか思い浮かばなくて、困ってしまった。
照れると真っ赤になって可愛くなる。
また一つ好きなところが増える。
高校のときをも含めて5年もの間一緒にいるのに、また新しい好きなところを見つけてしまう。
これ以上好きにさせてどうするつもりなんだ。まったく。