大人になってもまた君と
「まぁまぁ。2人共落ちついて。女性陣は一足先に、かんぱーい!!」
「はい、乾杯。ほら、はるもグラスを持ちなさい」
まぁまぁって誰のせいだと……!
こんなんで落ち着けるかっ!
そもそも、彼氏以外の男の人があんまり得意じゃないの、知ってるくせに!
人見知りな上に男の人が苦手、彼氏持ちのコンボ。
合コンなんて不向きどころか『え、なんで来たの?』って思われるでしょ!
私は女同士、3人で飲みたかったのに……。
楽しみにしてたのにー!!
……とはいえ。
一旦落ち着いて周りを見渡してみよう。
今、私の他に異を唱えている人は一人もいない……。
さっさと空気を切り替えたいらしい男の子たちは店員さんを呼んで自分たちの注文をしていた。
私だけがわがままを言って場を乱しているのは事実だ。
……合わせるべきなのは私の方、なのかな。
そうだ、健斗には一応あとで連絡を入れておこう。
ヤキモチなんて1ミリも焼かないのは目に見えているから、連絡をしてもしなくても一緒だとは思うけど、それでも連絡しないに越したことはないし。
私が我慢したら問題はないんだと思う。
仕方ない。2人が自由で私を振り回すのは今に始まったことでもないのだから。
「今度は3人で、だからね。全くもう……かん、ぱい」
あまり気乗りしていない私の心とは正反対に。
グラスの音が軽快良く、カチンと鳴り響いた。