大人になってもまた君と
「こいつ、どれだけ飲んだんだ?」
「"やっぱり2人と話すのが一番楽しい!"って言いながら、レモンサワーとシャンディガフと梅酒を2杯ずつくいくいっと飲んでたわよ」
「ふーん。一番楽しい、ねぇ?」
「気にするのはそこじゃないと思うわ。私たちにまで嫉妬するのはやめて」
しっ、と……?
今なんか耳馴染みのない言葉が聞こえた気がする。
酔ってるから幻聴でも聞いてるのかなぁ?
健斗が嫉妬なんてするはずないもんね。
「とりあえずこれ渡しとく。足りなかったら後日請求ということで。二度とこいつを誘うなよ」
「やだっ!また誘って!2人とお酒を片手に語り合うのー!」
「俺はそういう話をしてるんじゃなくてだな……あぁ、酔っ払いに何を言っても無駄か。よいしょっと」
「ん……?わっ!」
「こら、暴れるな。大人しく抱かれとけ。んじゃ、こいつ、連れ去って行くんで。残りのみなさんで楽しんでください、さようなら」
ぺこりと一礼してその場を立ち去る健斗と共にその場を去る私。
さっきよりもふわふわする。
それは交互に出される足によって一定のリズムで揺れているからか。それとも……
好きな人にお姫様抱っこされてるからなのかなぁ……?
洋服、ひんやりしてて気持ちいい。
あれ……耳に心臓の音が伝わる!
どくどくどくどくって、なにこれおもしろーい!!
あの余裕っぷりを知っている私からすれば、こんなに速く鳴っているのが意外だ。面白くて仕方がない。
もっともっと気分が高揚する。
楽しいなー幸せだなー。
と、にへにへ気持ち悪く笑っていたところ。
「ほら、乗れよ」
ゆっくりと地面に立たされ、車に乗るよう促され。
「どういうことか、ちゃんと説明しろよ。酔っ払い」
私に効果のないお説教タイムが始まった。