大人になってもまた君と
酔いが覚めたら
「ふふっ、ふわふわする〜」
「……で?お前はなんで他の男に触られてんの?」
助手席に乗り込んでシートベルトをつけたところまで見届けて運転席へと回った彼が扉を閉めて開口一番にそう言葉を放った。
私の言葉はガン無視だ。
見下ろされる視線に圧があって、いつもの上から目線とはまた違っている。
今の私にはなにを言っても、なにをしてもダメージはゼロだけど。
「なんでって、なんでだろうねー?……んーと、たしか途中で席を交代しようってなってね、隣にいたはずの友達がいつの間にかいずみくんになってて……」
「……は?あの短時間で下の名前で呼ぶようになったのか?人見知りで男苦手のお前が?」
「え?」
なにを言ってるんだろう?
いずみくんと仲良くなんてなってないよ。
会話らしい会話もしたおぼえがないしなぁ。
それにいずみくんは……。
「俺以外の男と仲良くなんてならなくていーだろ」
「そ、れは……」
「どうせお前は俺から離れらんないの。大人しく俺のものでいろ」
そうやって次々に発せられる言葉は、甘く私を縛りつける。
私が口を挟む間もなく独占欲丸出しのその言葉にはいつもの余裕さは全くない。
「……いずみくんはね」
和泉奏っていう名前で、私が呼んでるのは苗字の方だよ。
という説明は、激おこな彼氏に言葉ごと唇を奪われてしまって私の中に留まった。