今でもずっと
「吉井さん」
私たちが振り向くとそこには男が２人いた。１人は優しそうな笑顔をする、紳士と言う言葉がよく似合う人。
もう１人は１７５センチはありそうな、この時代にしては大きな人だった。


佳世の恋の相手は紳士の方。
名を築山と言った。


佳世と築山さんはずっと私たちそっちのけで話をする。

大きな男と私は取り残されたかのように、シンと静まり帰っていた。



「名前なんていうの？」

始めに話してくれたのは大きな男。
「種本すえです。貴方は？」
低く男らしい声だと思った。


「梶村雪路（ｶｼﾞﾑﾗﾕｷｼﾞ）、歳いくつ？」


「１６歳」


「ふ～ん、１つ下なんだね。」


私たちはまた無言になった。何故か２人とも言葉を交わす時、目が合わなかった。



これが私と貴方の最初の会話。これまでの付き合いだと思った。
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