貴女と世界を壊したい
「すみません、私やっぱり、夜遅くなっちゃうので帰ります…!」
なんだこれ、なんだこれ、なんで私、
分からないけど、違うんだけど、
でもこれ以上あの子のそばにいたら、なんかやばい気がする。
パニックのまま逃げるようにその場を去って、駅の改札を走り抜けて、タイミングよく来た電車に飛び乗って一息つく。
ドアに背中を預ければ、そのまましゃがみこんでしまいたい衝動に駆られたが、グッと堪えて両足に力を入れた。
大きく息を吸って、クリアになったはずの頭で考える。
違う。違うの。
綺麗だな、とか、大人っぽくて素敵だな、とか、そう思っただけで
だって相手は女の子で。綺麗な、とても綺麗な人だったから、友達になりたいと思っただけ。
触れたい、だなんて、思ってない。
なのに
脳裏にあの子の瞳が焼き付いて、消えない。