貴女と世界を壊したい
ーーーーー
ーー…



「「「よろしくお願いしま〜す」」」




キュキュッというバッシュの音をさせながら体育館の真ん中で大きな輪を作った私たちは、少しの緊張と多大なドキドキが混じりあった表情で真正面の人と微笑みを交わし合う。


チーム分けの緊張感は、慣れるものではない。



「今日は人数そんなに多くないので、3チームに分けま〜す」


「いち〜」「に!」「さんー」「いち!」「にぃ〜」「さ〜ん」「いち」「にっ」



色とりどりのテンションが声となって聞こえる。


皆楽しそうだな、なんてクスリと微笑んだ時、


「3です」

一際響く声が聞こえた。


今週も来てるんだ、なんて今更思ったりはしない。シュート練習をした時からずっと、視界の端で意識してたから。



…3なのか。



素早く目で数える。いち、に、さん、いち、に、さん、いち、に………さん。




あぁ、今日のサークルは最高になるかもしれない。


口角が上がるのをどうにか抑え、耳に血が上っていくのを意識しながら、平然と前を向く。


不審に思われるな。さり気なく、友達になれればいい。もし無理でも、顔を覚えてもらえば来週は話せる仲になれるかもしれない。大丈夫、向こうは何も気づいてないんだから。




大丈夫。大丈夫。


もういつの間にか隣の人の番で。次は私の番。



大丈夫、さりげなく。



「3です」




その瞬間、彼女と目が合った。ふんわりと笑った。




あぁ



私はきっとこの人から逃れられない。



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