貴女と世界を壊したい

「そういえば、佳奈はバスケサークルに入ったんだっけ?」


千紘がケーキを1口食べながら聞いてくる。



「そう!AirRunっていうサークル。今日新歓があるんだ〜!」


そう。どうしてもサークルというものに入ってみたかった私は、勧誘を受けてすぐに男女混合のバスケサークルに加入した。



ーーどこそこのサークルは飲みが激しいらしい。

ーーどこそこのサークルの先輩が一女に手を出して捨てたらしいよ。


ーーどこそこのサークルは美男美女しか入れないって聞いた。



そんな、様々な情報が溢れる中で、比較的平和そうで、新歓の人も穏やかそうだったサークル。



とはいえ…。



「男女混合でスポーツするのは初めてだし、そもそも男性と話すの慣れてないから、やらかしそうでかなり不安なんだけどね……」




「たしかにねぇ〜。でも佳奈は優しくていい子だから大丈夫だと思うよ。いやわかんないけど」



「せっかくフォローくれるならそこは言い切ってよ〜。千紘はどう?この前参加するって言ってたダンスサークル、上手くいった?」




「んー普通に普通かなぁ。でも、結構いい出会いがあった……かも?」



千紘は意味深にニヤついた後、ふっと時計を見ておっという顔をして立ち上がった。



14:45分。3限が終わって、あと10分で4限が始まる。


「ごめん、そろそろ行くね〜」


「ここで切るのずるいなぁ。また今度絶対聞くからね!」



ハイハイまた来週〜とバイバイする千紘の後ろ姿を見送る。


うーん、美人は後ろ姿まで美人だなぁ。



千紘は女子校の時からモテる子だったけど、その分理想も結構高いんだよね。だから早速いい人いたっぽいのはちょっと意外かも。


でも案外、大学って素敵な人たくさんいるものなのかも?



私も今日のサークルに向けて、自己紹介ちゃんと考えなきゃ…。
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