あふれるほどの愛と涙を、キミに。
トイレから出た後のこと。
近くから、
「おーい、恋木ー!」
という、男子の声が響いた。
その男子はあんまり近かったので、わたしは少しだけビクッと体を震わせてしまったけれど、その人はわたしの姿が全然見えていないみたい。
「ちーっす!」
あれは……恋木 大河くんだ。
恋木 大河くんは、明るくてスポーツが得意で、かっこよくて、太陽のような人。
恋木くんが笑うと、周りも太陽でキラキラと照らしてもらったように明るくなって、遠くから眺めるわたしでさえ、たまに笑みが溢れちゃうくらい。
「恋木ー。次の部活も、ちゃんと決めてくれるよな!?」
恋木くんは、サッカー部に入っている。
うちの学校のサッカー部はとても強く、大会にも何回も出場している。
中学時代から恋木くんは、サッカー部に入っていたみたいだけれど、その時から大会では素晴らしいシュートを決めていたという噂まである。
「あったぼうよ!」
男子と楽しそうに話す宇野くんは、いつもより何十倍、何百倍も明るい。