どうにもこうにも~出会い編~
いつもカウンターの端に座って猫背気味にひとりちびちび飲んでいる。誰かを連れてきたところを見たことは一度もない。少なくとも私がシフトに入っているときは。
店内がやがや騒がしいときでも、彼のまわりだけ空気が違うみたいに哀愁のようなものを身にまとい、自分だけの世界に没頭しているようだった。なんだか得体の知れない雰囲気を漂わせた彼に、ずっと前から私は密かに興味を抱いていた。
「熱燗と、タコの酢味噌和え、いただけますか」
「あ、はい!」
彼はいつもお酒を一本とおつまみ一、二品しか頼まない。いつもだいたい30分ほどちびちびやって帰っていく。
「熱燗と、タコの酢味噌和えです」
「ありがとう」
と彼は言いながら軽く会釈する。私みたいな大学生のアルバイトに対しても丁寧な態度を崩さない。こういう大人、いいなぁといつも思う。そして彼の低く通る声とゆったりとした喋り方が好きだ。時々吐息をつきながらなんとなしにお猪口を眺めてみたりしている。なんだかこの人の周りだけ違う時間が流れているみたいだ。
店内がやがや騒がしいときでも、彼のまわりだけ空気が違うみたいに哀愁のようなものを身にまとい、自分だけの世界に没頭しているようだった。なんだか得体の知れない雰囲気を漂わせた彼に、ずっと前から私は密かに興味を抱いていた。
「熱燗と、タコの酢味噌和え、いただけますか」
「あ、はい!」
彼はいつもお酒を一本とおつまみ一、二品しか頼まない。いつもだいたい30分ほどちびちびやって帰っていく。
「熱燗と、タコの酢味噌和えです」
「ありがとう」
と彼は言いながら軽く会釈する。私みたいな大学生のアルバイトに対しても丁寧な態度を崩さない。こういう大人、いいなぁといつも思う。そして彼の低く通る声とゆったりとした喋り方が好きだ。時々吐息をつきながらなんとなしにお猪口を眺めてみたりしている。なんだかこの人の周りだけ違う時間が流れているみたいだ。