どうにもこうにも~出会い編~
店を出ようとしたとき、ふとあの気になるお客さんの席を見ると、既に彼は店を後にしたようだった。戸を開けて空を見上げるとまだ本降りではなかったが、雨脚がやや強い。
「やだなぁもう」
不平をたれても誰も傘を貸してくれる人はいない。私の家は電車で15分、歩いて10分ほどのところにある。とりあえず駅まで急がないと。私は急ぎ足で駅へと向かった。いつもより早い時間に上がらせてもらったといっても時間は夜中の10時半を回ったところ。表の通りも人通りが少ない。3年間通い続けている見慣れたところでも、なんだか薄気味悪いものを感じる。
「ねぇ君」
「!」
ビジネスマンらしき人影の横を通り過ぎようとしたときその人影に声を掛けられた。怖くなって半ば走り出す。
「ちょっと待って」
見知らぬ者に待てと言われて待つやつがどこにいるというのだ。でも待って、この声、どこかで聞いたことあるような…。
「君」
「っ!!」
その声の主は私の肩をぐいと掴んだ。
「君、あの居酒屋のアルバイトの子でしょう」
「あ…」
声の主はあの例のビジネスマンだった。
「やだなぁもう」
不平をたれても誰も傘を貸してくれる人はいない。私の家は電車で15分、歩いて10分ほどのところにある。とりあえず駅まで急がないと。私は急ぎ足で駅へと向かった。いつもより早い時間に上がらせてもらったといっても時間は夜中の10時半を回ったところ。表の通りも人通りが少ない。3年間通い続けている見慣れたところでも、なんだか薄気味悪いものを感じる。
「ねぇ君」
「!」
ビジネスマンらしき人影の横を通り過ぎようとしたときその人影に声を掛けられた。怖くなって半ば走り出す。
「ちょっと待って」
見知らぬ者に待てと言われて待つやつがどこにいるというのだ。でも待って、この声、どこかで聞いたことあるような…。
「君」
「っ!!」
その声の主は私の肩をぐいと掴んだ。
「君、あの居酒屋のアルバイトの子でしょう」
「あ…」
声の主はあの例のビジネスマンだった。