どうにもこうにも~出会い編~
 とにかく西島さんには連絡しなくてはならない。今日は会えそうにないと。気が重いが仕方ない。私は彼に電話を掛けた。しばらくコール音が鳴ってから、留守番電話の音声が流れた。

「石原です。今日急にバイトを代わることになってしまいました。今日は西島さんに会えそうにありません。ごめんなさい。申し訳ないです」

 胸のあたりが重石を乗せられたみたいに重たくなった。早く明日にでもなってほしいと思った。


 西島さんの携帯電話に留守電を残してから1時間ほどが経っただろうか。私のスマホのバイブ音が鳴った。西島さんからのメールだった。

<電話に出られなくてすみませんでした。今日はバイトが入ってしまったんですね。また今度にしましょう。バイト、頑張ってください。西島>


 素っ気ない返信。私は深くため息をついた。

静かな図書館に私のそのため息だけがやたらに大きく響いた。

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