どうにもこうにも~出会い編~
 困った、と思った。

なんとか歩いて駅まで連れて来られたが、電車が来るまでホームのベンチに座らせていたら、ものの数分で寝てしまった。

「石原さん、石原さん。起きてください」

「んー…」

 彼女の頬を軽く叩いてみてもまるで起きる様子がない。そうこうしているうちに電車が来たので、仕方なく彼女を抱きかかえるようにして電車に乗った。周りの目が痛い…。

 彼女を自分の左脇に座らせたが、電車が揺れる度に彼女の身体はあらぬ方向へ傾いてしまうので、彼女の肩に腕を回して身体を固定せざるを得なかった。電車が急カーブを曲がるときに、彼女の身体が俺の胸元になだれ込んだ。

「ちょちょ、石原さん、しっかりしてください」

「はぁい」

 分かっているんだか分かっていないんだかよく分からない返事をして、電車の揺れに身を任せるかのように俺の両膝に自分の身体を横たえた。

「!?石原さん!」

 彼女は微動だにしない。

「人様の目もありますから…」

 俺は彼女の上体を起こし、彼女の頭を左手で抱き、自分の左肩にもたれかけさせた。

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