どうにもこうにも~出会い編~
「あの、お名前伺ってもいいですか?」
「私は西島といいます」
「西島さん…」
「あなたは、『ケイちゃん』と呼ばれていますね」
「はい。石原慧っていいます」
「そうですか。石原さんはS大生ですか」
「ええ、まあ」
ケイちゃんって呼んでくれないのか…。
「いつもこんな夜遅くまでアルバイトなんて、大変ですね。勉強も忙しいでしょうに」
「今はそんなに忙しくはないです。4月から4年生ですし、やることはゼミと就活しかないんで。まぁ忙しいっちゃ忙しいんですけど。就活費貯めないと」
「自立して、えらいですね」
「いえ、そんなことないです。うち貧乏なのに、無理言って大学出してもらっている身なので」
「そうですか。謙虚なんですね。私にも石原さんのような学生時代がありました」
彼はふっと遠い目をしたような気がした。時々彼の左腕が私の右腕と触れてかすかな衣擦れの音がする。こうやって並んでいると意外と彼は背が高いことが分かる。160センチの私の頭のてっぺんが彼の肩の高さくらいだ。意外と背が高いと思うのは、彼がカウンターでいつも猫背気味に座っている印象があるからかもしれない。
「私は西島といいます」
「西島さん…」
「あなたは、『ケイちゃん』と呼ばれていますね」
「はい。石原慧っていいます」
「そうですか。石原さんはS大生ですか」
「ええ、まあ」
ケイちゃんって呼んでくれないのか…。
「いつもこんな夜遅くまでアルバイトなんて、大変ですね。勉強も忙しいでしょうに」
「今はそんなに忙しくはないです。4月から4年生ですし、やることはゼミと就活しかないんで。まぁ忙しいっちゃ忙しいんですけど。就活費貯めないと」
「自立して、えらいですね」
「いえ、そんなことないです。うち貧乏なのに、無理言って大学出してもらっている身なので」
「そうですか。謙虚なんですね。私にも石原さんのような学生時代がありました」
彼はふっと遠い目をしたような気がした。時々彼の左腕が私の右腕と触れてかすかな衣擦れの音がする。こうやって並んでいると意外と彼は背が高いことが分かる。160センチの私の頭のてっぺんが彼の肩の高さくらいだ。意外と背が高いと思うのは、彼がカウンターでいつも猫背気味に座っている印象があるからかもしれない。