どうにもこうにも~出会い編~
「この前はバイト代わってくれてマジありがとな!」

「いえ全然!ていうか三宅先輩、怪我大丈夫ですか?痛そう」

「あー見た目ほど痛くねぇよ。腕だって20針縫ったくらいで別に折ったわけじゃないし」   

 20針とはなかなかの怪我なのでは…。なぜそんな大怪我で飄々と…。
 
 三宅先輩と呼ばれた彼は、俺の方に目を向けた。

「あ、えっと、こんちは。あれーすいません、なんか見たことあるんすけど、えーっと」

「君たちの居酒屋によく行っている西島です。いつもお世話になっています」

「あー!常連さんね!毎度ありがとうございます!」

 三宅先輩はペコペコとお辞儀をした。

「え、で、なんで西島さんとケイちゃんが?」

「私たちもたまたま居合わせたんですよ。偶然道端で彼女と会ったので、少し話をしていたんです」
「そうなんすね。あ、俺ちょっと急いでるんで!また店に来てくださいね!ケイちゃん、じゃあな!」

 彼は足早にその場を去って行った。

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