どうにもこうにも~出会い編~
 季節は初夏。リクルートスーツも着慣れてきて、最終面接で落とされることにも慣れてきた。一体何社受けたことか…。

今はバイトのシフトを減らし、就活に専念しているところだ。

今日は入社試験の二次面接帰り。夜はバイト仲間の3人と飲みに行く約束をしている。院生の三宅先輩と、学部2年生の橋本くんと志穂ちゃん。後輩のふたりは私と同じ学部で、キャンパス内でもたまに会う。今日みたいに店が定休日の日は、三宅先輩の招集で飲みに行くことがよくある。みんな学年はバラバラだけど、結構仲がいい。

今日の飲み会の場所は大学の目の前にある食べ飲み放題の居酒屋だ。料金も大学生に良心的で助かる。

時間は19時を回ったところだ。居酒屋の暖簾をくぐると、既に三宅先輩が店奥の座敷に座っていた。

「よ!ケイちゃんおつかれー!」

 彼は私を見つけるとニコッと笑って手招きした。

「スーツが就活生らしいねー。今日の面接の手ごたえは?」

「笑顔だけは自信があります!受かっている自信はありません!」

「そうか!今日はいっぱい飲め!」

 彼は私の頭をわしゃわしゃとなでた。私の頭をなでる右腕に、バイク事故のときにつくった傷が見えた。既に治っているとはいえ、傷跡が痛々しい。

「私、犬じゃないんですけどっ」

「ははは。おまえ犬っぽいもん」

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