どうにもこうにも~出会い編~
「あいつら、本当にまっすぐ帰るかな」

ふたりの背中を見送る三宅先輩が私にそう言った。

「俺の勘によれば、あいつらデキてる。橋本はべろんべろんだから、やつのアパートに志穂ちゃんが上がって介抱するだろ。そのあとどうなるかだなぁ」

「三宅先輩、下世話」

「若いふたりを優しく温かい目で見守ってんだよ。なあ、酔い覚ましにキャンパスの中ちょっと散歩しない?」

「いいですね」


 私と三宅先輩はキャンパスのメインストリートをふらふらと歩いた。メインストリートには、道沿ってイチョウの木が植えてある。今は葉が青々と茂っている。遅い時間ということもあり、時々キャンパスを通り抜ける学生がいるくらいで、人はほとんどいない。

「なあ、夜の学校って入ったことある?」

「いや、ないです」

「おいで」


 私は彼に連れられて理工学部棟の玄関の前に来た。彼は財布から何やらカードキーを取り出し、差込口にそれを入れた。

「院生になるとカードキー持たせてもらえるんだ。昼夜問わず研究できるわけ」

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