どうにもこうにも~出会い編~
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 キス、されるのかと思った。恥ずかしい。テレビを見ながらふたり並んでベッドに座ってシャコシャコ歯みがきをしている。不思議な光景だ。

 ツインルームということは、ベッドはひとりに一つずつ。彼は反対側のベッドに入ってしまった。

しかし、「そっち行ってもいいですか」と聞くと、「どうぞ」と掛布団を持ち上げすんなり受け入れてくれた。すぐそばで彼の呼吸と体温を感じ、緊張感と高揚感が入り混じって不思議な感じがした。

「明日仕事ですよね。無理させてますよね?」

「いや、私もあなたといたいと思ったからこうしてるんです。明日はどうとでもなりますよ」

 彼は私の背中に手を回し、自分の体に引き寄せた。

「西島さん、いい匂いがする」

「それ加齢臭じゃないかな」

「違いますよ。西島さんの匂いです」

 彼の胸元あたりをくんくんやると、「くすぐったいですよ」と言って彼は体を揺すった。目の前にある彼の胸にそっと触れると、細身の割に筋肉質であることが分かる。

「随分誘ってきますね」

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