一思いに殺して
だから手放した。傷つける言葉を、言った。全て真実だ。目に入らなきゃいずれ消そう、そんなつもりで吐いたその場凌ぎのメッセージには直ぐ様既読がつき、ごめんの台詞を繋ぐ思考を失わせる。
謝ったところで関係が修復されることはない。面倒な女。なんだか奇妙で如何にも人間らしい。やさしさ。例えばごめん、なんて心にも思ってないことを人としてやり直すために呟くには自分は人間が出来ておらず。
もう相手の人生に関与しないことが、一番の優しさなのではという解釈に辿り着く。
好きだ、愛してると付き合っている時適当に放り投げた。その全てはその場凌ぎのレスポンスだったとして、優しさに関して、これだけは嘘ではない。
ただ、あの日俺の下で言ったお前の愛が永遠を誓ったものだとして、
一ヶ月で他に傾くのは違くないか?
「聞いた、加瀬さんの話」
「体調不良とかって…」
「一ヶ月の入院?」
「最近顔色悪かったもんね」
「岬さんまだ帰って来ないのかな」
「どうしよう失踪したままもう戻ってこなかったら…」
「やめてよ縁起でもないこと」
「岬さんは加瀬さんの奥さんで社内でも憧れの最高な夫婦なんだから」
「そうよね、待ちましょう」
「きっと帰ってくるわよね」
「うんうん」
「檜山」