一思いに殺して
「いい子にしてたか」
ベッドに縛り付け猿轡を嚙ました岬は今日もちゃんとそこにいた。
玩具を入れられ、ずっと振動に震えていたせいかベットシーツは濡れそぼり身体を幾度となく痙攣させ、意識を手放しかけたあられもない姿で髪を乱しながら俺に縋る。
ヴー、という振動音が耳障りで面倒だからリモコンを強にしてやったら獣のように咆哮した。いくら叫んでも大丈夫。このマンションは防音で絶対外には届かない。
「みんな躍起になってお前を探してるよ。加瀬さん、あの人もうダメだ多分ほっといても死ぬな。よっぽどお前にご執心だったらしい、一ヶ月で人の女寝取った奴が信頼してるだのなんだの笑うよな、あーめんどくせえな腹立つから点滴に毒でも盛りゃ良かったわでも勝手に死んでくのおもろいから動画録ってやろうと思ってさ今度岬にも見せてやるよ」
「……、……」
「加瀬さん壊したら次田野な、あいつお前のこと理由に俺のことめちゃくちゃ強請って来たからマジ腹立ってんだよ事故死で行こうか、今度屋上連れ出して背中押してやろうと思ってる。大丈夫上手くやるよ、心配しなくてもお前の元にちゃんと帰って来てやるからな」
愛してるよ、と頬に口付けてその猿轡を剥がしてやる。もう血と涙と涎を垂れ流しながら泣き噦る岬にキスをして、それに抗うように顔を背けた岬に跨って首を絞める。
裏切りの代償は酸欠になった岬の顔をどんどん赤く染めていく。
「、.…っ て」
「うん?」
「ろして」
「一思いに殺して…っ」
岬の首を絞めながら俺はにっこりと微笑んだ。
「やだよ」