とある企業の恋愛事情 -ある社長秘書とコンビニ店員の場合-
俊介は仕事帰りにデパ地下で惣菜をいくつか買って、一旦自宅に帰った。
綾芽からの返事はまだない、流石に気になったので綾芽の勤めている花屋に行こうと思ったが、繁忙期にそれは迷惑行為だ。仕方なく待つことにした。
十一時過ぎ頃、綾芽のアパートの前に着いた。
相変わらず暗い場所だ。夜に見ると痴漢でも出そうな雰囲気だ。俊介はスマホを開いて綾芽のメッセージを呼び出した。だが、やはり綾芽からの返事はない。
それからしばらく綾芽を待った。そして十二時をすぎた頃、ようやく俊介もおかしいと確信し始めだ。
いくらなんでもこんな時間まで働いているはずがない。俊介は車を出てアパートに入った。綾芽の部屋の前に立ち、古びたインターホンを二回ほど押した。しかし、中から応答はない。
車に戻りながらもう一度綾芽に電話をかける。何度か呼び出し音がして、ようやくその音が止んだ瞬間、俊介は慌てて受話口に喋りかけた。
「綾芽さん!? 今どこにいるんだ!?」
綾芽の後ろからは何かの音楽が聞こえる。どこか店にでも入っているのだろうか。こんな時間に?
『俊介さん────』
電話の向こうの綾芽はなんだか消えそうな声をしていた。それが余計に不安を掻き立てた。
「どうした? 何かあったのか?」
『ごめんなさい、私……』
どうも様子がおかしい。やはりなにかあったのだ。俊介は焦る気持ちを抑えてゆっくりと喋りかけた。
「今綾芽さんの家の前にいるんだ。綾芽さんはどこにいるんだ?」
『────ネットカフェです』
「ネットカフェ?」
俊介は思わず聞き返した。なぜ綾芽がそんなところにいるのだろうか。しかもこんな時間に────。
「綾芽さん、今からそこに行く。話は出来るか?」
いつものような元気な声ではなかったが、はい、と小さな返事が聞こえた。
俊介は電話を切り、綾芽からメッセージが来るのを待った。少しして、綾芽の現在地の情報が送られてきた。どうやら綾芽は少しここから離れた場所にいるようだ。駅の近くだから、電車で向かったのだろう。
車に乗り込み、エンジンをかけるなりすぐに発進した。落ち着かないのは胸騒ぎのせいだろうか。綾芽の声を聴けたというのに欠片も安心できなかった。
綾芽からの返事はまだない、流石に気になったので綾芽の勤めている花屋に行こうと思ったが、繁忙期にそれは迷惑行為だ。仕方なく待つことにした。
十一時過ぎ頃、綾芽のアパートの前に着いた。
相変わらず暗い場所だ。夜に見ると痴漢でも出そうな雰囲気だ。俊介はスマホを開いて綾芽のメッセージを呼び出した。だが、やはり綾芽からの返事はない。
それからしばらく綾芽を待った。そして十二時をすぎた頃、ようやく俊介もおかしいと確信し始めだ。
いくらなんでもこんな時間まで働いているはずがない。俊介は車を出てアパートに入った。綾芽の部屋の前に立ち、古びたインターホンを二回ほど押した。しかし、中から応答はない。
車に戻りながらもう一度綾芽に電話をかける。何度か呼び出し音がして、ようやくその音が止んだ瞬間、俊介は慌てて受話口に喋りかけた。
「綾芽さん!? 今どこにいるんだ!?」
綾芽の後ろからは何かの音楽が聞こえる。どこか店にでも入っているのだろうか。こんな時間に?
『俊介さん────』
電話の向こうの綾芽はなんだか消えそうな声をしていた。それが余計に不安を掻き立てた。
「どうした? 何かあったのか?」
『ごめんなさい、私……』
どうも様子がおかしい。やはりなにかあったのだ。俊介は焦る気持ちを抑えてゆっくりと喋りかけた。
「今綾芽さんの家の前にいるんだ。綾芽さんはどこにいるんだ?」
『────ネットカフェです』
「ネットカフェ?」
俊介は思わず聞き返した。なぜ綾芽がそんなところにいるのだろうか。しかもこんな時間に────。
「綾芽さん、今からそこに行く。話は出来るか?」
いつものような元気な声ではなかったが、はい、と小さな返事が聞こえた。
俊介は電話を切り、綾芽からメッセージが来るのを待った。少しして、綾芽の現在地の情報が送られてきた。どうやら綾芽は少しここから離れた場所にいるようだ。駅の近くだから、電車で向かったのだろう。
車に乗り込み、エンジンをかけるなりすぐに発進した。落ち着かないのは胸騒ぎのせいだろうか。綾芽の声を聴けたというのに欠片も安心できなかった。