若旦那様は愛しい政略妻を逃がさない〜本日、跡継ぎを宿すために嫁入りします〜
「仕事の話を私に?」
「そうなんだ。会社の業績が伸び悩んでいてね。その理由はわかっているんだが……」
「わかっているのなら、それを実行して解決すればいいと思うわ」
解決策を指南してこの話は済んだものと考え、私はフォークでエビとレタスを刺してパクッと口に入れる。
美味しい。さすがここは素材が最高ね。
「実行するには、澪緒の協力が必要なんだよ」
「えっ? 私の……協力……?」
フォークを持ったままポカンと口を開け、父を見つめる。
「ああ。わが社には、老舗呉服屋の『御子(みこ)柴(しば)屋(や)』の格式ある着物が不可欠なんだ」
「パパの説明はよくわからないわ。結論を教えて?」
老舗呉服屋がどんなものなのかも見当がつかないから、あーだこーだ話されても時間の無駄だろう。
「……わかった。澪緒、お前に御子柴絢(あや)斗(と)氏に気に入ってもらい、結婚してほしい。この男性だ」
父はジャケットの内ポケットから一枚の写真を取り出して、私に見せるようにテーブルの上に滑らせた。
「そうなんだ。会社の業績が伸び悩んでいてね。その理由はわかっているんだが……」
「わかっているのなら、それを実行して解決すればいいと思うわ」
解決策を指南してこの話は済んだものと考え、私はフォークでエビとレタスを刺してパクッと口に入れる。
美味しい。さすがここは素材が最高ね。
「実行するには、澪緒の協力が必要なんだよ」
「えっ? 私の……協力……?」
フォークを持ったままポカンと口を開け、父を見つめる。
「ああ。わが社には、老舗呉服屋の『御子(みこ)柴(しば)屋(や)』の格式ある着物が不可欠なんだ」
「パパの説明はよくわからないわ。結論を教えて?」
老舗呉服屋がどんなものなのかも見当がつかないから、あーだこーだ話されても時間の無駄だろう。
「……わかった。澪緒、お前に御子柴絢(あや)斗(と)氏に気に入ってもらい、結婚してほしい。この男性だ」
父はジャケットの内ポケットから一枚の写真を取り出して、私に見せるようにテーブルの上に滑らせた。