若旦那様は愛しい政略妻を逃がさない〜本日、跡継ぎを宿すために嫁入りします〜
「店の者にはそう呼んでもらう。途中で変更すると混乱する者も出るだろう。さっそくだが、おばあさまの執務室へ案内する。そこで着付けを習うように」
絢斗さんはバックヤードへ私を連れていき、ブラウンの引き戸をノックした。
中から翠子さんが現れて私に微笑む。彼女は水色の着物に着替えていた。
「おつかれさまです。どうぞお入りください」
部屋に入ったのは私だけで、絢斗さんは立ち去る。
奥のデスクに座るおばあさまの姿に、あまり緊張しない私でも身が引きしまる。
室内は半分が段差のない畳で、残りの半分がデスクとソファセットが置かれたスペースになっていた。おばあさまのデスクの隣に、翠子さんの席もあった。
「澪緒さん、こちらへ来なさい」
おばあさまに促されて畳のスペースに向かう。
畳の隅に着物が数着積まれていて、草履を脱いで上がったおばあさまはその一番上にある着物を手にした。
「翠子さん、澪緒さんに肌着を渡して」
「はい。澪緒さん、こちらにいらしてください」
私はスニーカーを脱いで畳に上がる。
絢斗さんはバックヤードへ私を連れていき、ブラウンの引き戸をノックした。
中から翠子さんが現れて私に微笑む。彼女は水色の着物に着替えていた。
「おつかれさまです。どうぞお入りください」
部屋に入ったのは私だけで、絢斗さんは立ち去る。
奥のデスクに座るおばあさまの姿に、あまり緊張しない私でも身が引きしまる。
室内は半分が段差のない畳で、残りの半分がデスクとソファセットが置かれたスペースになっていた。おばあさまのデスクの隣に、翠子さんの席もあった。
「澪緒さん、こちらへ来なさい」
おばあさまに促されて畳のスペースに向かう。
畳の隅に着物が数着積まれていて、草履を脱いで上がったおばあさまはその一番上にある着物を手にした。
「翠子さん、澪緒さんに肌着を渡して」
「はい。澪緒さん、こちらにいらしてください」
私はスニーカーを脱いで畳に上がる。