若旦那様は愛しい政略妻を逃がさない〜本日、跡継ぎを宿すために嫁入りします〜
「香り……ああ、白檀です。店内に香木もインテリアとして置かれています。お嫌いな匂いでしょうか?」
「い、いいえ。好きです」
白檀って言うんだ。いい匂い。心が安らぐ匂いだわ。
「では少し休憩をいたしましょう」
ふたりは自分たちが脱いだ服を片付け始めた。
それから、給湯室の横にある休憩所でお茶を飲んでいると、直治専務が私を呼びに来た。
「社長がお呼びでございます」
「わかりました」
社長室がどこにあるのかわからない私を、直治専務はドアの前まで案内してくれてから去っていった。
ドアをノックしてすぐ中から「どうぞ」と絢斗さんの低めの声が聞こえてくる。
入室する私を、デスクの横に立っていた絢斗さんが迎えてくれた。
今日の着物はグレーで、落ち着いた彼の雰囲気に合っている。帯は夜の闇のような暗い色。
「これを」
絢斗さんは持っていた長方形の箱の蓋を開けて中のものを取り出す。
「い、いいえ。好きです」
白檀って言うんだ。いい匂い。心が安らぐ匂いだわ。
「では少し休憩をいたしましょう」
ふたりは自分たちが脱いだ服を片付け始めた。
それから、給湯室の横にある休憩所でお茶を飲んでいると、直治専務が私を呼びに来た。
「社長がお呼びでございます」
「わかりました」
社長室がどこにあるのかわからない私を、直治専務はドアの前まで案内してくれてから去っていった。
ドアをノックしてすぐ中から「どうぞ」と絢斗さんの低めの声が聞こえてくる。
入室する私を、デスクの横に立っていた絢斗さんが迎えてくれた。
今日の着物はグレーで、落ち着いた彼の雰囲気に合っている。帯は夜の闇のような暗い色。
「これを」
絢斗さんは持っていた長方形の箱の蓋を開けて中のものを取り出す。