若旦那様は愛しい政略妻を逃がさない〜本日、跡継ぎを宿すために嫁入りします〜
「ちゃんと出ていますよ。私、女優志望だったんです。幼い頃、ママの仕事の関係でモデルの仕事をしていて。エキストラしかできない女優でしたけど、髪のモデルもしていたんです」
絢斗さんはポカンと口を開けて驚いており、少し気分が晴れた私はしてやったりと笑顔になる。
「驚いたな。女優とは……」
「ハリウッド通りの土産物店でアルバイトしていたんです。時々、ハリウッドスターを見かけるの。といってもボディガードやパパラッチに囲まれていて、スターの姿はあまり見られなかったけど」
ふと懐かしさが蘇るが、あの頃よりも今こうして絢斗さんと会話をしていることが楽しいと思える。
「向こうに未練はないのか? 仕事や友人も含めて」
「ここへ来なければ、モデルや女優はきっぱり諦めて、近いうちに就職先を探していたと思う。友人は……たしかに仲がよかった女友達もいるけど、連絡したい子はひとりしかいないわ」
彼女――ミラだけは私の生活が変わっても変わらなかった。ミラはタンゴダンサーで、現在アルゼンチンで勉強している。なので私が日本へ来ていることを知らない。
絢斗さんはポカンと口を開けて驚いており、少し気分が晴れた私はしてやったりと笑顔になる。
「驚いたな。女優とは……」
「ハリウッド通りの土産物店でアルバイトしていたんです。時々、ハリウッドスターを見かけるの。といってもボディガードやパパラッチに囲まれていて、スターの姿はあまり見られなかったけど」
ふと懐かしさが蘇るが、あの頃よりも今こうして絢斗さんと会話をしていることが楽しいと思える。
「向こうに未練はないのか? 仕事や友人も含めて」
「ここへ来なければ、モデルや女優はきっぱり諦めて、近いうちに就職先を探していたと思う。友人は……たしかに仲がよかった女友達もいるけど、連絡したい子はひとりしかいないわ」
彼女――ミラだけは私の生活が変わっても変わらなかった。ミラはタンゴダンサーで、現在アルゼンチンで勉強している。なので私が日本へ来ていることを知らない。