若旦那様は愛しい政略妻を逃がさない〜本日、跡継ぎを宿すために嫁入りします〜
「御子柴さま、いらっしゃいませ」
新宿の高層ビルの最上階にある会員制クラブ。
エレベーターを降りると、黒いスーツを着た初老の男性が俺を出迎える。
彼はこの会員制クラブの総責任者、杉山(すぎやま)支配人だ。
二十歳になって親父に連れてこられたのが最初だった。それからひと月に一、二度ほど息抜きに飲みに来ている。その当時から彼はここの支配人だ。
「俺が一番のりかな?」
時刻は約束の一分前。
「いいえ。桜宮さまが十分ほど前にいらしております。ご案内いたします」
さすが機長。時間に余裕を持った行動だな。
「いつもの席でしょう? 案内はいいですよ」
「はい。では、一条さまがお見えになりましたらご挨拶に伺わせていただきます」
杉山支配人に断り、恭しく開けられた重厚なドアの向こうへゆったりと歩を進めた。
落ち着いたインテリアの店内に入ると、宝石をちりばめたような都心の夜景が目に入る。一面の窓のおかげで、昼の景色も圧巻だが、今日のように天気がいい夜はさらに鮮やかに目を楽しませてくれる。
新宿の高層ビルの最上階にある会員制クラブ。
エレベーターを降りると、黒いスーツを着た初老の男性が俺を出迎える。
彼はこの会員制クラブの総責任者、杉山(すぎやま)支配人だ。
二十歳になって親父に連れてこられたのが最初だった。それからひと月に一、二度ほど息抜きに飲みに来ている。その当時から彼はここの支配人だ。
「俺が一番のりかな?」
時刻は約束の一分前。
「いいえ。桜宮さまが十分ほど前にいらしております。ご案内いたします」
さすが機長。時間に余裕を持った行動だな。
「いつもの席でしょう? 案内はいいですよ」
「はい。では、一条さまがお見えになりましたらご挨拶に伺わせていただきます」
杉山支配人に断り、恭しく開けられた重厚なドアの向こうへゆったりと歩を進めた。
落ち着いたインテリアの店内に入ると、宝石をちりばめたような都心の夜景が目に入る。一面の窓のおかげで、昼の景色も圧巻だが、今日のように天気がいい夜はさらに鮮やかに目を楽しませてくれる。