若旦那様は愛しい政略妻を逃がさない〜本日、跡継ぎを宿すために嫁入りします〜
「主人がどれくらい援助したのか私は知らないけれど、そうおっしゃるからにはかなりの額のようね」
「額……」
「澪緒さんは強欲だわね」
「えっ……? ごう、よく……?」
言葉の意味がわからずに困惑する私に、彼女はフンと鼻を鳴らす。
「若旦那の財産目当てで引き受けたんでしょう? 計算高い娘になったものね」
「それって、お金目当てと言っているんですか?」
「そうよ。たしかに若旦那はどんな男も霞むくらい素敵ですけどね。あなたには手の届かない人よ。本当に主人は……。お金をかけてまで日本へ呼び寄せ、こんな高級ホテルに滞在させるなんて。私としては腹立たしい限りよ」
ひどい言葉を投げつけられ、綺麗にメイクしてもらった顔が歪む。
気にしてはいけない。
冷たい空気が流れ息苦しさを覚えたとき、ドアチャイムが鳴った。
「主人かしら」
先ほどとは打って変わって笑顔になり、彼女はドアへ歩を進めた。
部屋に入ってきた父は目を丸くして近づいてくる。
「額……」
「澪緒さんは強欲だわね」
「えっ……? ごう、よく……?」
言葉の意味がわからずに困惑する私に、彼女はフンと鼻を鳴らす。
「若旦那の財産目当てで引き受けたんでしょう? 計算高い娘になったものね」
「それって、お金目当てと言っているんですか?」
「そうよ。たしかに若旦那はどんな男も霞むくらい素敵ですけどね。あなたには手の届かない人よ。本当に主人は……。お金をかけてまで日本へ呼び寄せ、こんな高級ホテルに滞在させるなんて。私としては腹立たしい限りよ」
ひどい言葉を投げつけられ、綺麗にメイクしてもらった顔が歪む。
気にしてはいけない。
冷たい空気が流れ息苦しさを覚えたとき、ドアチャイムが鳴った。
「主人かしら」
先ほどとは打って変わって笑顔になり、彼女はドアへ歩を進めた。
部屋に入ってきた父は目を丸くして近づいてくる。