若旦那様は愛しい政略妻を逃がさない〜本日、跡継ぎを宿すために嫁入りします〜
会場へ入って真っ先に目が行くのは、紫色の羽織を綺麗に着ている御子柴絢斗氏だ。二組の母娘と話をしている。そのうしろには列をなすように他の母娘も。
彼の隣には白髪を綺麗に結った女性がいて、お客さまと笑顔で会話している。
「さすが御子柴屋の若旦那だなぁ。パッと目を引く素晴らしい着物姿だよ。それにしてもあの列に並ばなければ話ができなそうだ。予想はしていたが。隣にいるのが御子柴屋の大奥さまだ」
父が彼の方へ視線を向けて当惑している。
食事はブッフェスタイルで壁三面に料理が並び、フロアにはテーブルと椅子がセッティングされている。開け放たれた窓から庭園にも出られるようで、私が毎日散歩していた滝がよく見える。
彼目当ての若い女性がこんなにいるなんて思いもよらなかった。
料理が並んでいる場所からもう一度彼の方へ目を向けた。その瞬間、ドクッと私の心臓が大きく跳ねる。
なぜならば、若い女性と話をしていたはずの彼がこちらを見ていて、目と目が合ったから。でもすぐにその顔は正面に戻された。彼は女性に笑いかけていた。口元を緩ませている彼を初めて見る。
彼の隣には白髪を綺麗に結った女性がいて、お客さまと笑顔で会話している。
「さすが御子柴屋の若旦那だなぁ。パッと目を引く素晴らしい着物姿だよ。それにしてもあの列に並ばなければ話ができなそうだ。予想はしていたが。隣にいるのが御子柴屋の大奥さまだ」
父が彼の方へ視線を向けて当惑している。
食事はブッフェスタイルで壁三面に料理が並び、フロアにはテーブルと椅子がセッティングされている。開け放たれた窓から庭園にも出られるようで、私が毎日散歩していた滝がよく見える。
彼目当ての若い女性がこんなにいるなんて思いもよらなかった。
料理が並んでいる場所からもう一度彼の方へ目を向けた。その瞬間、ドクッと私の心臓が大きく跳ねる。
なぜならば、若い女性と話をしていたはずの彼がこちらを見ていて、目と目が合ったから。でもすぐにその顔は正面に戻された。彼は女性に笑いかけていた。口元を緩ませている彼を初めて見る。