若旦那様は愛しい政略妻を逃がさない〜本日、跡継ぎを宿すために嫁入りします〜
「もういいんです」
私は強く言って彼から目を逸らし、横を向く。
「ぶっきらぼうだな。もういいとは?」
「父はあなたに気に入られなかったら、別のお金持ちの男性と結婚させようと思っているんです。私をビジネスの駒に使おうとしているのがわかったんです。あなたがダメだったら仕方がないと、言ってくれていたのに」
そう言うと、彼はおかしそうに笑う。
「どうして笑うんですか?」
「君は俺でも他の男でも、金持ちなら誰でもかまわないんじゃないのか?」
「えっ? 違います!」
「違う? どうして?」
「あなたはロスで写真を見ましたから。素敵な人だと思いました」
急に彼はお腹を抱えて笑いだした。さっきよりも激しく。その姿に私はあっけにとられる。
「君は率直に言うんだな。俺にひと目惚れをしたってわけか」
「か、勘違いしないでください。私は男性を信じられないんです。だから、ひと目惚れではなく――」
「どうでもいいのなら、他の金持ちの男と結婚してもいいんじゃないか?」
それが私にもわからないけど、彼以外の人は嫌なのだ。でも、その気持ちがどうしてなのかわからない。
私は強く言って彼から目を逸らし、横を向く。
「ぶっきらぼうだな。もういいとは?」
「父はあなたに気に入られなかったら、別のお金持ちの男性と結婚させようと思っているんです。私をビジネスの駒に使おうとしているのがわかったんです。あなたがダメだったら仕方がないと、言ってくれていたのに」
そう言うと、彼はおかしそうに笑う。
「どうして笑うんですか?」
「君は俺でも他の男でも、金持ちなら誰でもかまわないんじゃないのか?」
「えっ? 違います!」
「違う? どうして?」
「あなたはロスで写真を見ましたから。素敵な人だと思いました」
急に彼はお腹を抱えて笑いだした。さっきよりも激しく。その姿に私はあっけにとられる。
「君は率直に言うんだな。俺にひと目惚れをしたってわけか」
「か、勘違いしないでください。私は男性を信じられないんです。だから、ひと目惚れではなく――」
「どうでもいいのなら、他の金持ちの男と結婚してもいいんじゃないか?」
それが私にもわからないけど、彼以外の人は嫌なのだ。でも、その気持ちがどうしてなのかわからない。