若旦那様は愛しい政略妻を逃がさない〜本日、跡継ぎを宿すために嫁入りします〜
「借金の額を聞かないんですか? 一億かもしれませんよ?」
一億なら彼が怖気づくと思って吹っかけてみた。
そんな大金払えるわけないもの。私はロスに帰って、地道に百万円の借金を返せばいい。日本に来れば父が借金を返済してくれる約束だったけれど、父の本心を知ってしまった今は断るつもりだ。これ以上援助を受けて、父に利用されたくはない。
「一億?」
絢斗さんは片方の眉を上げてから不敵に笑う。その表情に気圧されながらも頷く。
「そ、そうです。私と結婚するにはものすごいお金がかかるんですよ? そんな大金、払うなんてできないですよね?」
「一億の花嫁か。君にならもっと払ってもいい。よし! 成立だな」
「えっ? もっと……?」
「行こう。おばあさまに紹介をしよう」
絢斗さんは心の整理がついていない私の手を掴むと、部屋を出てパーティー会場へ向かった。
着物に不慣れな私のためか足取りはゆっくりだ。
会場の入り口では、先ほどここで招待状を確認していた着物姿の若い女性が周りへ視線を動かしながら立っていた。
一億なら彼が怖気づくと思って吹っかけてみた。
そんな大金払えるわけないもの。私はロスに帰って、地道に百万円の借金を返せばいい。日本に来れば父が借金を返済してくれる約束だったけれど、父の本心を知ってしまった今は断るつもりだ。これ以上援助を受けて、父に利用されたくはない。
「一億?」
絢斗さんは片方の眉を上げてから不敵に笑う。その表情に気圧されながらも頷く。
「そ、そうです。私と結婚するにはものすごいお金がかかるんですよ? そんな大金、払うなんてできないですよね?」
「一億の花嫁か。君にならもっと払ってもいい。よし! 成立だな」
「えっ? もっと……?」
「行こう。おばあさまに紹介をしよう」
絢斗さんは心の整理がついていない私の手を掴むと、部屋を出てパーティー会場へ向かった。
着物に不慣れな私のためか足取りはゆっくりだ。
会場の入り口では、先ほどここで招待状を確認していた着物姿の若い女性が周りへ視線を動かしながら立っていた。