キミに幸せの花束を
「ここは…?」


「ここは総長しか入れねぇ部屋」


え、じゃあ私入ったらダメなんじゃ…


不安な思いが顔に出てたのか如月さんはフッと笑って私の頭を撫でた。


「恋莉は特別」


「特別…?」


どういう意味だろう…


よく分からなくて首をかしげていると、急に視界が暗くなった。


シトラスの香りが鼻を掠めて、ようやく如月さんに抱きしめられているのに気づいた。


「如月さんっ…離して…!」


「フッ…顔真っ赤。可愛い」


「ふぇ?!」


鏡を見なくても真っ赤になってるのが分かるくらい顔が熱い。


「…俺はお前が欲しい。何か抱えてるのは知ってる、作り笑いしてるのも。お前の瞳は闇で染まってる」


そう言って私の頬を撫でた。


作り笑い、見破られたの初めて…


「さっきの腕の傷、彼氏にやられたんじゃないのか?」


「いえ…本当に自分でぶつけてしまったんです」


もうこれ以上聞いてこないで欲しくて如月さんから目を逸らした。


ガチャッ


急に開いたドアに驚いてそちらを見ると、すごく綺麗な女の人が立っていた。


白衣を着てるからお医者さん…?


「香織さんありがとうございます」


さっき眼鏡さんとの会話に出てきた人かな…


「いいのよ。で…どうしたの?」



< 12 / 34 >

この作品をシェア

pagetop